爺の登山小史 No31
青春の1目標は終わったが、相変わらずシコシコ登攀は続けた。山岳雑誌に紹介されてたアイスバイルが画期的なもので、こいつのコピーを作って冬の北壁で使ってやろうと考えた。スコットランドの名クライマー「ハミッシュ・マッキーンズ」が考案した「マッキーンズペック」という代物だ。今までのピッケルやバイルのイメージを引っくり返すデザインで、過激に折れ曲がったピックは古臭い登山界の伝統をブチ壊すインパクトがあり、俺は完全に魅せられた。早速、図面を描き、なじみの鍛冶屋に直行した。石橋町のF鍛冶屋では昔から当店の鉈や鍬を作って貰っていて、その抜群の切れ味と、芸術品とも言える繊細な形状は、近郊の農家で圧倒的な支持を受けていた。ずーと前に廃業したが、こういう職人が消えていく時代というのは寂しいものです。ともあれ鍛冶屋はアッサリ引き受けてくれて、菊信ハンマーが誕生した。
d0007657_18192070.jpg
左が初期モデル。知合いのクライマーに頼まれて5~6本作ったかな?右は改良型?のセミチューブだが、これは致命的な設計上の欠点があり、ピックが付け根から折れた。早速、冬の天狗沢に持参して、スコットランドのベン・ネヴイスを攀じ登ってるような錯覚に酔ったものだ。
d0007657_18242734.jpg
天狗沢を登る我々(やっとカラー写真の時代に入る。)
by kikunobu111 | 2008-07-06 18:26 | ・爺の登山小史
<< 水彩 「松江市、寺町」 爺の登山小史 No30 >>