菊信じじいの登山小史 8
勿論、翌日のチンネへのアプローチは、死刑場へ引き立てられる罪人の心境そのものだった。長い長次郎谷を詰め、対峙するチンネの岩壁は、アイガー北壁以上の迫力で、頭上にのしかかって来る。中央バンドを超えて、最後のピッチは、上から先輩に怒鳴られながら、ひたすら膝で登った。怖くて靴で立てないのだ。頂上に着いた時、俺のニッカーズボンは両膝が破れていた。
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翌日は、源次郎尾根の縦走で、マー気が楽だった。そして合宿後半、剣岳から穂高まで、30kg以上の荷を担いでの大縦走が始まった。初日は五色ガ原。二日目は薬師岳越え。スゴ乗越を過ぎて、水が無くなり、余りの暑さに、山道の汚い水溜りの水を沸かして飲んだ。本当に水だったのか、先行した登山者の小便混じりだったのかは解らない。三日目の黒部五郎の登りで、又、失神。おかげで黒部五郎のカールのキャンプ地まで、空身で歩かして貰った。
by kikunobu111 | 2007-02-18 18:17 | ・爺の登山小史
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