勿論、翌日のチンネへのアプローチは、死刑場へ引き立てられる罪人の心境そのものだった。長い長次郎谷を詰め、対峙するチンネの岩壁は、アイガー北壁以上の迫力で、頭上にのしかかって来る。中央バンドを超えて、最後のピッチは、上から先輩に怒鳴られながら、ひたすら膝で登った。怖くて靴で立てないのだ。頂上に着いた時、俺のニッカーズボンは両膝が破れていた。
by kikunobu111
| 2007-02-18 18:17
| ・爺の登山小史
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